こんなんで、もしここにリグ・ヴェーダが現れたらどうするんだ。

神出鬼没だからあり得る。伶士が連れて行かれるかもしれない。そこまで考えてなかった。

私、立てるのか?

…いや、もう戦えない。



すると、フラフラとした意識の中でも、何となく…大きい霊力が近付いてくるのがわかる。

それは、恐らく仲間…時間的にも、玲於奈あたりか。気付いて加勢に来てくれたのだろうか。



けど、一歩遅かった。決着はもう着いたし、ここに残されたのは結果だけだ。

でも…良かった。これで心配はいらない。玲於奈になら任せられる。きっと伶士を助けてくれるだろう。



私の役目は果たした。



(親父…)



仇を取るとか言って、先に死ぬことになってごめん。

叶わないとはわかっているけど…親父ともっと話がしたかった。

ちゃんとしたカレシが出来たとかって、紹介してみたかったよ。

本当、何も叶わなくなっちゃったな…。



ホント…。



(伶士…)



虚に目だけを動かして、その姿を探す。

視線が止まったところは、あのベッドで。

数分前とは変わらない姿で、今も寝ているのを確認出来ると、安堵する。

何があったかも知らずに、全裸でおねんねしてるわ。

…いや、何があったかは気付かない方が良い。目が覚めてからも。