あれは花魁女郎蜘蛛の『核』だ。

見事に粉々になった。

やった…勝った。作戦成功、奇襲仕掛けて見事、勝利。



(勝利…か?)



いや…それは違うな。

わかる。床に座り込んだ状態を辛うじて保っているが、私はもう虫の息で。

肺の中もチリチリしていて呼吸もゼェゼェと浅くなっているのがわかる。そのうち…私の息は停まる。



全身火傷しているであろう身体は、痛いのか痛くないのかわからない。もう、感覚がないし、指ひとつ動かせない。

目の前の視界も、頭の中もぼんやりとしていた。



もう力も入らない。自分の意志では…もう自分の体を動かせない。



ふと視線を下にやり、じっと両手を見る。

花魁女郎蜘蛛同様、焼け焦げていて肌が爛れ、ケロイド状態。

重度の火傷、といったところだ。自分の目では確認出来ない部分、顔とかはどうなってるのか。

…これじゃあ、生きていても地獄だろうよ。

呪詛返し、早すぎるわ。対応出来ねえよ、こんなの。



(あぁー…)



もう、溜め息も出せない。目の前がどんどん霞んでいく。

さっきから、意識も途切れ途切れだ。