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飛び込んで狙うは、ヤツの背後…!



だが、手を伸ばして届くか届かないかの距離に達した時、ヤツは急にぐるんと振り返る。



「…やはり来おったか、小娘!」



…ちっ。バレてたか!



真っ正面から対峙するカタチとなってしまった。

だが、ヤツは突っ込んでくる私にこれ好機とばかりに向かって掌を翳す。

【傀儡】の術式が来る!

しかし、私もこれは想定の範囲内だ。



「…【真陀羅朱霊華】!」



こっちも負けじと鉄板の技を振り翳す。

先の戦いと同じく、すでに繰り出されていた傀儡のテグスとぶつかっては焼き払うことが出来た。

狙いは本体ではなく、厄介な蜘蛛の糸。

やはり、神力開印状態だと詠唱のタイムロスが無くて良い。

…あのテグスが無くなれば、こっちのもんだ!



「…突っ込んで来る気か!」



あぁ、そうだよ。

飛び道具の蜘蛛の糸を失くした花魁女郎蜘蛛は、一瞬であれ丸腰状態だ。

その隙を、狙う。

一歩踏み込んで、左肩を突き出し、ドン!と鈍い音を立てて体当たりで懐に入る。