収集した情報を元に淡々と分析を重ねていたが。

そのひとつの事実が、意とは関係無しに私の体を震え上がらせる。

もしもの映像が頭の中を掠めた。



伶士が、魔族に喰われる。

伶士が死ぬ。



伶士が、この世界の何処にも居なくなってしまう。

どれだけ探そうが…。



(嫌だ…!)



伶士を死なせるなんて、それだけはダメだ。

護衛云々の前に、私自身が一人の女としてそれを許さない。

そんな忌々しいもしもの未来は、首をブンブンと振って払拭させた。



そうだ。

それは、私が許さない。

女である前に、私は…伶士のボディガードであり、陰陽師だ。



陰陽師なら、術者として魔族の横行を許すな。

ボディガードなら、主の身は命を張ってでも護る、その為に…!



そう繰り返して自分を奮い立たせる。

暗示をかけて、自身を洗脳するかのように。

それとは平行して、先程、頭の中で組み立てた殴り込みの算段を思い返して確認していた。



失敗は許されない。

絶対に、助ける。





すると、物音と汚い喘ぎ声が静まったのに気付く。

どうやら、終わったらしい(…)。