「依頼されたモノ、全部揃えたわよ?」



応接用のテーブルには、幾代さんのノート型パソコンが置いてある。

幾代さんがパソコンをちょいちょいと触ると、私のカバン内のタブレットが音を立てた。



「資料は、剣軌くんとなずのタブレットに送信しといたよ?開いて確認して?説明もするから」

「ありがとう」



言われた通りに、カバンからタブレットを取り出して画面を開く。

タッチしてスクロールしていくと、驚愕してしまうぐらい意外な内容が記されていて、目を見開いてしまう。



「…まず、南郷7丁目の奴らの根城。…まあ、こうもあからさまにやってくれるなんて、肝が座ってるのか、ただのバカなのか」

「はっ…」



幾代さんには、まず奴らの根城のマンションの部屋を所有者を洗い出す依頼をした。部屋番はヨーテリに調べてもらっている。

魔族の根城だ。まさか魔族名義でマンションなんて借りれるわけがない。

単に空き家を占拠しているだけなのか、それとも他に人間の協力者がいるのか。

もしくは…食べられた人間の住居なのか。



だが、そのどれでもない。