…とは、言っても。噂になっているのはなんとなくわかるような気がする。

正面玄関から教室までの道のり、すれ違う生徒や背後からの視線をジロジロ感じたのは言うまでもない。

そして今も…ただトイレに行くだけの廊下が、まるで好奇心による視線の荊道になっちゃっている。

いや、そんなもん全然気にしないけど?

北桜学園にいた時と比べたら、全然可愛いもんだ。

しかし、チカの発信力すごくね?



やれやれ…と、苦笑いして教室へ戻ろうとその荊道の廊下を普通に歩く。

すると、そこにいた。



「おーっ。伶士殿だ。おはよーさん」

「伶士おつかれー。この間はごちそーさん」



6組の前には、ギャル二人。

川村と…なずなだ。



「この間はごちそーさんって何よ何よ」

途端に川村はなずなに対してニヤニヤと冷やかしの視線を向ける。

「冷やかしお断りだぞ!」と、川村をキッと睨むなずなだが、すぐに表情を変えてドヤ顔になる。

「…と、言いたいところだがな?実は退院した次の日、伶士にあの『さっぽろグリエ』に連れて行ってもらったんだ!」

「おぉー。高級肉屋か。いきがりステーキ!じゃねえのか」