やっと手に入れたこの魔族の力が一瞬で消える、神童の【相殺】。

目の当たりにした時には、恐怖は愚か、絶望さえ感じた。



《一番姑息な方法で、奴らを消せ》



そう言われて、大和総本山が誇る【神童】の陰陽師二名を排除。

あの時の達成感といったら半端なかった。

今の自分に、怖い者はない。

魔族が持たない繊細な知恵を持つ、人間。

人間が抗うことの出来ない兵器のような力を持つ、魔族。

両方を兼ね備えた我々がこの世で最強である、と。



そうして、次々と立ちはだかる邪魔な陰陽師、神童と相対する。

だが、上手く事が進まず、徐々に劣勢を強いられる状況となっていた。



原因は、神童の【絶対従者】という存在である、竜堂夏輝という男。

他の陰陽師や神童と違って、神力で力を倍増させた体術に優れていた。人間離れした俊敏なスピードに、我々としては着いていくことが出来ない。

魔力の打ち合いをする前にボコボコにされて、動けなくなったところで神童の【相殺】で何人もの仲間を失った。

正直、目障りである。

目的を達成することなく、我々が全滅させられるのでは、という危機感があった。