ぶつかったのはベージュのトレンチコートを着た女性だった。 ろくに詫びることも出来ずに、向こうも頭を下げて早々に去ってしまう。 颯太に「ちゃんと前見てろよ」と小突かれた。 いや、前だけを見過ぎてしまいましたのよ…。 …だが、まさかこの些細な出来事が、幕開けとは思わない。 俺たちの運命の歯車をバラバラにするぐらいの、命の危険にも及ぶ、悲劇の始まりだということを。 「…痛っ」 ★★★★★mission8 eNd★★★★★★