妙に淡々と言い放つので、聞いている周りは言葉を失っている。
店内はシーンと静まり返ってしまった。
そんな中で、表情も変えずに淡々と一言付け加えたのは、綾小路室長の隣にいる風祭さんだ。
「なずな…何度も言ってるけど、リグ・ヴェーダは人間だ。魔族との合いの子状態だけど、ヤツはこの日本にまだ戸籍もある立派な日本国民」
「………」
「いいか?ヤツはあくまでも生け捕りで確保だ。人間として裁かれる事項が彼には幾つもある。警察サイドとしては『相殺』で魔力を奪って捕らえたい。皆とそう方針を固めて確認し合ってるだろ。そこは神童の皆に頑張ってもらわないと無理だけど…警察にだって面子はあるんだよ」
「………」
なずなは返事をしない。むうっと膨れて、黙って目の前のほうじ茶ラテを飲んでいた。
風祭さんは淡々とクールに視線を送り続けているが、彼の上司である綾小路室長はため息をついて、気まずそうにしている。
…え?ここって仲間内で意見が合ってないの?
それに…なずながみんなと違えた意見をしたら、保護者である菩提さんが真っ先に注意しそうなのに。
その菩提さんが、何も言わず黙っていることに、とても違和感を覚えた。



