「『夢殿』の力を保有している伶士くんそのものを御所望、ですか…」
「それはつまり、夢殿の夢見の力を欲しているわけではないと?」
「…まるで、器が欲しいというような言い方だね」
「器…」
川越さんの何気ない一言に、菩提さんは一瞬だが呟いて、目を見開かせていた。
その反応が少し気になってしまう。
この人は鋭いから、何かわかったんじゃないかと思って。
「…しかし、『正義とは何か?』ですか。わかっちゃいましたがリグ・ヴェーダ、昔のことも含めて何の反省もないのですね…」
「もし反省してるんだったら、こうして俺たちが集まって彼に頭を悩ましてることはないんじゃない?」
「それもそうですね…」
菩提さんの鋭い突っ込みに、綾小路室長は苦笑いをするしかなさそうだ。
「『正義』なんてどうでもいいよ」
面白くなさげにそう言い放ったのは、なずなだった。
「あいつの目的は何かは知らないけど、あいつは親父の仇。私にはそれ以上でも以下でもない。…あいつの言ってる事が正しかろうが間違っていようが、私達は何も奪われず、あいつを殺る。ただそれだけだから」



