キミと、光さす方へ

☆☆☆

「ねぇ、なにかあった?」


ホームルームが終わったとき、泉が声をかけてきた。


「え?」


「さっき先生と目配せしてたでしょう?」


さすが泉は目ざとかった。


あたしは呆れて息を吐き出す。


「大したことじゃないよ」


「本当に? あたしたち隠し事はなしだよ?」


泉に言われて、あたしは渋々昨日の放課後松本くんの暮らすアパートまで行ったこと白状した。


「琴江1人で行ったの!?」


大きな声で驚かれて、あたしは慌てて人差し指を立てて「シーッ!」と言った。


幸い、近くには話を聞いていた勇人しかいない。


「そうだ、先生には泉も一緒に行くって言っておいたの。なにか聞かれたら話しを合せてね」


そう言うと泉は呆れた表情を浮かべた。


「琴江って変なところで行動的だねぇ」


「そうかな?」


「そうだよ!」