キミと、光さす方へ

慌てて職員室へ駆け込んだつもりだったけれど、やっぱり間に合わなかったみたいだ。


あたしがのんびり座り込んだりしていなければ、この怪我もしなかったかもしれないのに。


「用事はそれだけ?」


松本くんに言われてハッと我に返った。


「あ、あの……」


どうしよう、なにを言えばいいのだろう。


言いたいことや聞きたいことは沢山あるはずなのに、本人を前にして頭の中は真っ白だ。


でも、とにかく謝罪することが先決だと思われた。


松本くんは静かにお昼の時間を過ごしていたのに、あたしたちはそれを邪魔した。


その上、図書室での会話が聞かれて、昨日の放課後のようなことになってしまったのだから。


「あ、あのね……。昨日の放課後見ちゃって……」


あたしの言葉に松本くんはちょっと驚いた表情を浮かべたけれど、頷いただけだった。


「それで、先生を呼んだんだけど、でも、えっと……」


なんて言えばいいんだろう。


松本くんは困っているのではないかと、チラリと顔を上げる。


そこにはいつものように表情のない松本くんがいるばかりだ。


「昨日の放課後あんなことになったのって、その、あたしたちせいだから、謝りたくて」