キミと、光さす方へ

「別に、普通だよ」


勇人の手から逃れるように身をよじり、言う。


「そっか。頑張れよ」


「勇人も部活頑張ってね」


そう言うと、勇人は嬉しそうに笑って教室を出て行った。


その後ろ姿を見送り、あたしは教科書へ視線を落とす。


勇人に揺れられた頭部が温かい。


でも、そんな気持ちもすぐにしぼんでいってしまう。


気にかかるのは今日休んだ松本くんのことだった。


連絡先を知らないから、今どこでどうしているのか確認ができない。


泉は首を突っ込むなと怒るかもしれないけれど、昨日の出来事を見てしまった手前、気になって仕方がなかった。


今日1日勉強もあまり手につかなかったくらいだ。


今だって教科書を開いていても頭の中は松本くんのことでいっぱいなのだ。


昨日のことが気になる。


そして噂についても気になる。


人殺しって、どういうこと?


そう質問してみたい。


そんなこと、できるわけないけれど。