キミと、光さす方へ

勇人の後ろ姿を見送って、あたしは肩から力を抜いた。


ふっと息を吐き出し、ノートを移動していた手を止める。


「ちょっと、もう少し優しくしてあげたら?」


後ろから泉が呆れた声で言った。


「うん……そうだよね」


ちょっと反省して呟く。


でも、あたしにはどう反応すればいいのかよくわからないのだ。


勇人のことは嫌いじゃないし、友達だと思ってる。


でも、なんとなく壁がある気がしている。


勇人は人気者だし、あたしは違うし。


見えない壁があって、それを超えることは難しいと思っている。


「勇人には言わないの?」


その言葉にあたしは驚いて泉を見た。


泉は見上げるようにしてあたしを見つめている。


その表情はどこか申し訳なさそうで、自分がいらない部分まで首を突っ込んでいるという自覚を持っていそうだった。


「そのつもりはないよ」


あたしは前を向きながら、泉へ向けてそう返事をしたのだった。