キミと、光さす方へ

1人でご飯を食べるのにうってつけの場所はいくつかあった。


ひとの通らない渡り廊下とか、カップルも遠慮するような埃っぽい空き教室。


しかし、そのどれもに松本くんの姿はなかった。


「どこで食べてるんだろうねぇ」


泉は疲れたように呟いた。


早く見つけ出さないとあたしたちの昼休憩がなくなってしまう。


あたしは手に持っているお弁当箱に視線を落とした。


「仕方ないな。先に飯食うか」


勇人はそう言うと、近くの図書室のドアを開けた。


「ちょっと、教室に戻るんじゃないの?」


慌てて後ろから声をかける。


「大丈夫。1年生のとき図書委員やってた友達が、ここで飯食ってる生徒は多いって言ってたから」


そう言われて図書室の中に入って見ると、確かにあたしたち以外に生徒がいた。


みんな静かに本を読みながらご飯を食べている。


「こんな風にご飯を食べていいんだ」


あたしはその光景に感激して呟いた。


本を読みながらご飯を食べるなんて、家の中くらいしかできないと思っていた。


家にいても、両親の前ではできないことだ。