キミと、光さす方へ

「ないね」


スパッと言い切り、鞄に入ったままの教科書やノートを机の中に移動していく。


「それ人生の大半を損してるぞ」


勇人が真面目腐った顔で言うから、思わず笑ってしまいそうになる。


あたしは両頬に力を込めて笑顔を消し、勇人を見た。


「そんなことない。あたしはあたしで普通に生活してるから」


だから勇人には関係ないでしょう?


そこまで言ってしまいそうになり、慌てて口を閉じた。


勇人はそんなあたしに更に呆れ顔だ。


勇人は人生楽しんだ者勝ちと思っているところがある。


でも、あたしはそうは思わない。


別に楽しまなくたって平和に暮らしていればそれだけでいい。


「ま、お前がそう言うならいいけどさ」


勇人はそう言うと肩をすくめて窓際の席へと戻って行ってしまった。