キミと、光さす方へ

あたしと泉は視線を合わせた。


あの態度じゃ田中くんはどんどんエスカレートしていくだろう。


少しでも反応を見せればいいのに……。


そう思っても、直接手を貸すわけにはいかない。


そんなリスクのあること、あたしにはできない。


「なぁおい。お前人殺しだから黙ってんの?」


田中くんがさらに話かけたその時だった。


なんの前触れもなく、突然松本くんが席を立ったのだ。


ガタンッと大きな音がして椅子が後ろへ倒れる。


田中くんは一瞬ひるんで後ずさりをした。


しかし松本くんは結局なにも言うことなく、教室を出ていったのだった。