キミと、光さす方へ

それからあたしと泉は教室へ戻ってきていた。


意識して松本くんへ視線を向けると、本人は知ってか知らずかいつものようにうつむいて椅子に座っているばかりだ。


そんな松本くんへ向けた蔭口があちこちから聞こえてきていた。


「掲示板見た?」


「見た見た。あの噂本当かな?」


「本当なんじゃないかなぁ?」


面白半分で口にしている子。


「このクラス人殺しがいるからなぁ!」


「マジ、怖いよなぁ!」


わざと聞こえるように大声で言う生徒。


やり方は様々だけれど、みんなあのサイトを読んで松本くんを非難していることは間違いなかった。


本人だって聞こえているはずなのに、松本くんは全く反応を見せない。


「なんでなんにも言わねぇんだよ?」


さっき大声で松本くんを非難していた田中くんが、大股に近づいて行ってそう言った。