キミと、光さす方へ

「あるよ」


あたしはペンケースから赤ペンを取り出して勇人に渡した。


「サンキュッ」


勇人は片手を上げて自分の席へ戻っていく。


それを見て泉がニヤついているのに気がついた。


「そんな顔して、どうしたの?」


「勇人、絶対に琴江のことが好きだよ?」


あたしの耳に口を近づけて言う。


泉の言葉に一瞬心臓がドクンッと跳ねた。


「泉の勘違いだってば」


あたしは自分の顔が赤くなっていないか心配で、両手で頬を隠した。


「あんなにわかりやすいのに、本当にわかってないの?」


泉はついに呆れ顔になってしまった。


本当はわかっている。


勇人があたしを想ってくれていること。


そしてあたしも勇人のことを考えると、胸がギュッと苦しくなること。