キミと、光さす方へ

あたしはよしよしよと勇人の頭をなでた。


このバカみたいに真っすぐな男のことを好きになったのは、いつからだっけ?


勇人が琴江を好きなことはわかっていたから、自分が出しゃばるつもりは最初からなかった。


勇人みたいに真っすぐな人ならきっと琴江を笑顔にできる。


そう思って、琴江の背中を押してみたりもした。


自分の気持ちなんてそっちのけだった。


結局あたしがやっていたことは勇人と変わりないんだ。


「ま、いざとなればあたしがいるから」


スラリとそんなことが口から出てしまった。


あっと思っても、言ってしまった言葉は元には戻せない。


涙顔のブサイクな勇人が驚いた様子であたしを見ている。


「じろじろ見ないでよ」


あたしはプイッとそっぽを向く。


でも、顔がカーッと熱くなるのを感じた。


きっと、あたしの気持ちは勇人にバレバレだろう。


チラリと視線だけ動かして勇人を見てみると、勇人も耳まで真っ赤だった。


お互いなにも言わない。


そんな不器用なあたしたちがつきあい始めるのは、まだ少し後のこと……。




END