キミと、光さす方へ

☆☆☆

~泉サイド~

「ほんっとバカだよねぇ勇人って」


あたしはため息交じりに言った。


放課後の教室では勇人の泣き声が響いていた。


今日突然「放課後残ってくれ!」と言われてなんだろうと思っていたら、完全に琴江に振られたのだと言って男泣きし始めたのだ。


あたしは呆れてそれを見ている。


「バカじゃねぇ!」


勇人は泣きながら怒鳴る。


でもちっとも怖くない。


「そんなに好きなのに、琴江の背中を押したんでしょう? バカじゃん」


そう言ってから、それは自分も同じだったと思いだして苦笑いをした。


「なに笑ってんだよ!」


勇人は更に怒りだす。


怒るのか笑うのか、どちらかにしてほしい。