キミと、光さす方へ

☆☆☆

勇人はすべてを知っても、やっぱり勇人のままだった。


「そっか」とか「うん」とか相槌を打って、時々神妙な表情を浮かべて、それでも最後には笑った。


「そんな大切なこと、話してくれてありがとう」


そう言って、また少し泣いてしまったあたしの頭をポンッとなでた。


それからB組へ向かうと直哉が登校してきていた。


目が合うとなんだか恥ずかしくて互いに照れ笑いを浮かべる。


すべてのわだかまりが溶けて消えて、これから先あたしたちに何が待ち受けているのか希望で胸が膨らんでいる。


「おはよう琴江」


直哉の挨拶にあたしは笑顔になる。


もう自分に遠慮しない。


少し目立ったって気にしない。


「おはよう直哉」


あたしは返事をして直哉と手を取り合い、2人で光のさす方角へと視線を向けたのだった。