キミと、光さす方へ

その後すぐに聞こえてきた自転車のブレーキ音に、あたしはビクリと震えた。


咄嗟に振り向いてしまった。


白い自転車が視界に入る。


十字路の脇から出てきたその自転車は「邪魔なんだよ!」とあたしに罵声を浴びせかけて、再び動き出した。


乗っている相手の顔は見ていない。


声の様子からだと男だと思う。


だけどあたしの目には白い自転車だけが見えていた。


「なんだよあいつ」


チッと勇人が舌打ちをする。


悪いのは向こうだ。


だってここは歩道なのだから、自転車は降りなきゃいけない。


そう思いながらも足に力が入らなくなって、そのまま地面にへたりこんでいた。


「おい琴江、大丈夫か?」


咄嗟に勇人が手に力を込める。


あたしは右手で自分の口を覆い隠した。


気分が悪い……。


心臓はさっきまでと違った動きを見せる。


ドクドクと嫌な緊張で早鐘を打ち、背中にジワジワと汗がにじんでくる。