お父さんは大きく鼻をすすり、それからキッと直哉を睨みつけた。


直哉の背筋がピンッと伸びる。


「お前たちは人よりも険しい道を選んだことになるかもしれない。それでも覚悟はできてるんだな?」


「はい」


直哉が頷く。


あたしも、同じように頷いた。


「過去は消せないし、変えることもできない。これからは君が琴江を守りながら生きていくんだ」


「はい」


直哉があたしの手を握り締める。


「その手を絶対に離すんじゃないぞ」


「はい!!」