キミと、光さす方へ

☆☆☆

病院は前に直哉が入院したのと同じ場所だった。


受付で部屋番号を聞くのももどかしく、外科病棟へと急ぐ。


直哉が入院しているのはナースステーションのすぐ隣の個室だった。


「直哉っ!」


病室へ飛び込むとベッドの背を起こして座っていた直哉が驚いた顔をこちらへ向ける。


左の手首には包帯が巻かれていて痛々しい。


「琴江……?」


驚いた表情が戸惑いに変わっていく。


「直哉、よかった」


ベッドに近づいて行くと、直哉はあたしから逃げるように視線をずらした。


「全部、聞いた」


そう伝えるだけで、直哉には理解できたようだ。


ビクリと体を震わせて両手を膝の上で握りしめた。


「それなら、もうわかっただろ。俺はもう……」


「あたしは直哉のことが好き」


あたしは直哉の言葉を遮って言った。


「無理なんだよ。全部聞いたならわかるだろ?」


「わからない!」


あたしはブンブンと左右に首を振り、駄々っ子のように言う。