キミと、光さす方へ

「会いに行くんだろ?」


「でも、あたしは……」


両親が家にいる時にはきっと外出することは許されない。


「なにビビってんだよ。あいつもきっと待ってる」


勇人が今どんな気持ちでその言葉を口にしているのか。


あたしは勇人の優しさに甘えていいんだろうか?


「うまく誤魔化しておいてやるから」


そう言い、窓辺へ近づいて行く勇人。


窓の下は家の裏側になっていて、高い塀が見える。


「これなら塀に飛び乗れるな」


「本気で言ってるの?」


「当たり前だろ。このくらいのことでひるんでどうすんだ」


あたしは窓から下を確認する。


どうにか足を伸ばせば塀に届くかもしれない。


「頑張れ琴江」


あたしは大きく頷いた。


ここまで変われることができたんだ。


あたしなら、きっと大丈夫。


自分に言い聞かせ、窓枠に右足を掛ける。


外の風が心地いい。