キミと、光さす方へ

☆☆☆

こうして男子と一緒に帰るなんて初めての経験だった。


相手は一番仲のいい勇人だけれど、意識してしまって心臓はドキドキいっている。


同時に周囲の目も気になって自然と早足になってしまう。


危うく、右の道路から走って出てきた小学生とぶつかりそうになる。


「危ないだろ、もう少しゆっくり歩けよ」


「うん、そうだね」


あたしは大人しく頷いて歩調を緩めた。


ここまで来れば同じ学校の生徒の目も少なくなる。


「琴江さ、いっつも学校で宿題してから帰るのか?」


聞かれて頷いた。


「うん。学校で宿題やっちゃえば先生に質問もできるし」


「へぇ……琴江って変わってるよなぁ」


そう言われてドキッとした。


勇人があたしのなにかを見透かしているように感じられたからだ。


しかし勇人はただ学校で宿題を終わらせるという行為を珍しいを感じただけみたいで、それ以上突っ込んでは来なかった。


ひとまず安心して前を向く。