キミと、光さす方へ

それなのに両親に反対されるようなことがあるなんてあるとは思っていなかった。


最近は直哉からの連絡もなくて、不安でいっぱいだったところに追い打ちをかけられた気分だった。


勢いで立ち上がり、部屋に向かおうとしたときお母さんに腕を掴まれて立ちどまった。


そのまま振り払おうとしたが、お母さんの真剣な目を見るとできなかった。


「琴江、ちゃんとお父さんの話を最後まで聞きなさい」


そう言われ、グッと下唇を噛みしめた。


もうなにも聞きたくない。


もう話なんてなにもない。


そう思いながらも、あたしは突っ立ったままでお父さんを見た。


お父さんは眉間にシワを寄せ、深く考え込んでいるようだった。


「琴江はあの時パニックになっていたし、もう10年も前のことだから覚えていないかもしれないな」


お父さんの言葉にあたしは「え?」と口を開いた。


10年前と言われて思い出すのは弟の事故のこと。


あたしたち家族の間では当然その出来事が連想された。


「なにそれ。どういうこと?」


あたしはお父さんの隣に移動して、坐り込んだ。