キミと、光さす方へ

泉に話した時はまだ小学校高学年で、2人とも涙でグチャグチャに濡れていたんだっけ。


「だからね、直哉が自分が人殺しだって言ったとき、あたしも同じだなって思ったの」


今回は涙は出なかった。


代わりに清々しさを感じている。


直哉にはいつか話そうと思っていたことだから、話せてよかったのだ。


「そうなんだ……」


直哉はうつむきがちに頷いた。


「直哉も、自分から幸せを遠ざけていたでしょう? それ、あたしも同じなんだ。だから初めて会ったときに似てると思ったのかもしれない」


あたしはそう言って笑った。


直哉は複雑な表情を浮かべている。


心なしか顔色が悪くなっているような気がして、心配になった。


「どうしたの直哉。具合悪い?」


「いや、大丈夫。俺もう帰るね」


「え、ちょっと」


止める暇もなかった。


直哉はまるであたしから逃げるように足早に、来た道を戻り始めたのだった。