キミと、光さす方へ

☆☆☆

翌日、学校へ行くと勇人がまっさきに近づいてきた。


なんだろうとつい身構えていると「おめでとう!」と、大きな声で言われた。


教室中に響く声で言われたあたしは瞬きを繰り返す。


「泉から聞いた。うまく言ったんだってな」


その言葉にあたしは驚いて勇人を見つめた。


正直、勇人にはなんて説明すればいいだろうかと悩んでいたところだったのだ。


黙って行くわけにはいかないし、かといって嬉しさを押しだすのも気が引けるし。


だから、こうして勇人の方から声をかけてくれることに心底ホッとしていた。


「ありがとう」


あたしは素直に微笑んで頷いた。


「これからが本番だからな。幸せになれよ」


そう言う勇人はなんだか部活の先生みたいで、なんだかちょっとおかしかった。


そんな話をしている間に泉と松本くんも登校してきて4人でのおしゃべりになった。


「なんだお前らまだ名字で呼び合ってるのか」


勇人に言われてあたしと松本くんは頷いた。


付き合い始めたからって急に呼び方を変えることは難しい。


「下の名前で呼んでみなよ」


泉があたしの腕をつついてそう言った。


「え、えっと……」


しどろもどろになっていると、松本くんが目を輝かせてあたしを見てきた。


何かを期待しているような視線によけに恥ずかしくなる。