キミと、光さす方へ

☆☆☆

家に戻ってからも夢の中にいるような感覚だった。


松本くんとキスをして、告白もされて、そして付き合うことになった。


それらの出来事は20分程度のことで、たった20分で自分の世界がガラリと変わったことに驚いていた。


「泉には連絡しなきゃ……」


呆然としてベッドに横になっていたけれど、片手にスマホを握り締めて上半身を起こした。


どういう風に報告したらいいんだろう?


泉はきっと喜んでくれる。


驚いて電話してくるかもしれない。


あたしは緊張をほぐすために深呼吸をした。


大丈夫。


泉ならきっといつも通りに受け入れてくれる。


ずっと一緒にいたのだから、今までと変わらない。


《琴江:泉、今日松本くんに告白された》


何も変わらない自信があるから、いつものようにメッセージを送った。


《泉:おめでとう! 琴江ならきっとうまくいくと思ってた!》


その文面にまた涙があふれ出した。


沢山迷惑をかけて、沢山心配もかけて、沢山支えてもらった。


今度泉になにかあればそのときは絶対にあたしが力になる。


そう思い、スマホを握り締めてまた少しだけ泣いたのだった。