キミと、光さす方へ

すると松本くんはホッとしたように息を吐き出す。


「よかった。俺の勘違いかと思った」


「そ、そんなことない!」


「俺が好きな人も、もうわかった?」


質問されて、恥ずかしくて松本くんの胸に顔をうずめた。


松本くんが好きなのはあたし。


わかっていてもそれを言葉にするのは勇気がいる。


だから代わりに松本くんが言ってくれた。


「俺が好きなのは仲村さん」


その言葉にブワッと涙があふれ出した。


好きな人に好かれることがこんなに特別なことだったなんて。


好きな人に好かれることが、こんなに幸せなことだったなんて。


今まで知らなかったし、考えたこともなかった。


溢れだした涙は止まらず、目元を抑えたハンカチはあっという間に湿っていく。


松本くんはしゃくりあげて泣くあたしの頭を、ずっとなでていてくれたのだった。