☆☆☆
あの松本くんが笑ってくれた。
それはあたしにとってとんでもない進歩だった。
退院パーティーのときだって少しも笑顔を見せなかったのに、あたしの前では笑ってくれたのだ。
嬉しくて授業にも身が入らない。
「ちょっと、琴江。ニヤニヤして気持ち悪い」
休憩時間に泉にそう言われてもニヤニヤが止まらないくらいの幸せを感じていた。
それからはメッセージではなく、学校で直接松本くんに話かけるようになっていた。
松本くんは相変わらずうつむいていたけれど、あたしの話はちゃんと聞いてくれているみたいで、時折頷き、相槌を打ってくれる。
自分には関わるなと言っていたから迷惑がられるかもと不安だったけれど、最近ではそれも言われなくなっていた。
「琴江、最近すごく頑張ってるね。登下校も、もうほとんどあたしと変わらない時間になったし」
「うん。もう自転車を見てもパニックにならなくなったの。ブレーキ音はまだ苦手だけどね」
「それでもずごいよ。あれだけ逃げてたのに、自分から立ち向かうようになったんだから。琴江、強くなったね」
泉からそう言われるとなんだか感動してしまう。
今のあたしがあるのは泉のおかげだった。
あの松本くんが笑ってくれた。
それはあたしにとってとんでもない進歩だった。
退院パーティーのときだって少しも笑顔を見せなかったのに、あたしの前では笑ってくれたのだ。
嬉しくて授業にも身が入らない。
「ちょっと、琴江。ニヤニヤして気持ち悪い」
休憩時間に泉にそう言われてもニヤニヤが止まらないくらいの幸せを感じていた。
それからはメッセージではなく、学校で直接松本くんに話かけるようになっていた。
松本くんは相変わらずうつむいていたけれど、あたしの話はちゃんと聞いてくれているみたいで、時折頷き、相槌を打ってくれる。
自分には関わるなと言っていたから迷惑がられるかもと不安だったけれど、最近ではそれも言われなくなっていた。
「琴江、最近すごく頑張ってるね。登下校も、もうほとんどあたしと変わらない時間になったし」
「うん。もう自転車を見てもパニックにならなくなったの。ブレーキ音はまだ苦手だけどね」
「それでもずごいよ。あれだけ逃げてたのに、自分から立ち向かうようになったんだから。琴江、強くなったね」
泉からそう言われるとなんだか感動してしまう。
今のあたしがあるのは泉のおかげだった。



