キミと、光さす方へ

「宇宙人?」


松本くんはなんのことだろうと首をかしげている。


「あ、あのね。猫のクッキーを作ったらみんなが宇宙人みたいだって言うの。ひどいよね?」


そう言うと松本くんは瞬きをして、そしてふっと表情を緩めたのだ。


それはほんの一瞬の出来事で次の瞬間にはまた無表情に戻ってしまっていた。


でも確かに、松本くんはあたしの言葉に笑ってくれたのだ。


「どうも」


ぶっきらぼうにそう言い、クッキーを持って歩き出す。


またひとりで図書室でパンをかじるのだろう。


「笑ってくれた……」


あたしはその場に呆然と立ち尽くして、そう呟いたのだった。