キミと、光さす方へ

☆☆☆

昼休憩になったとき、あたしは教室を出ていく松本くんを追いかけた。


「松本くん!」


振り向いた松本くんは面倒くさそうな表情を浮かべている。


その顔に一瞬胸がチクリと痛む。


それでもあたしはラッピングしたクッキーを差し出した。


「これ、作ってきたの。良かったら食べて」


一気に言って、息を吐き出す。


松本くんは無表情であたしの手の中にあるクッキーを見つめている。


「なにこれ」


「え、えっとクッキーなんだけど……甘いもの嫌いだった?」


「別に」


簡潔に答え、あたしの手から袋を取り上げる。


とりあえず受け取ってくれたことに安心したかと思ったら、松本くんはその場で袋を開け始めたのだ。


「あ、あの。形とか自信なくて、だからっ」


必死に言い訳をしている間にクッキーと取り出してしげしげと見つめる松本くん。


一応、形のいい犬のクッキーを選んで入れたのだけれど、松本くんの表情は険しい。


「ご、ごめんね変な形で、それ、犬なんだよね」


「犬? 猫かと思った」


ボソッと呟く松本くん。


「え、宇宙人じゃなくて?」


思わず聞いていて。