キミと、光さす方へ

☆☆☆

放課後になり、あたしはボンヤリと教室中央の席を見つめていた。


泉も松本くんも勇人も、他のクラスメートたちはすでに帰ってしまった。


あたしは自分の席に座り、今まで宿題をしていたのだ。


1時間ほどしてようやく宿題を終えることができて、鞄を掴み、立ちあがる。


教室を出ようとしたのだけれど、不意に気になって振り向いた。


誰もいない松本くんの席。


松本くんを見た瞬間、自分と同じ匂いを感じた。


彼も何かを抱えて生きている。


とても重たいなにかだ。


それがなにかは彼にしかわからないけれど、彼を陰で生きさせる十分な理由になるものなんだと思う。


だけど松本くんは間違えている。


陰で生きて生きたいのなら、ただ暗いだけじゃダメだ。


それだと今日の松本くんみたいに逆に目立ってしまうから。


クラスメートたちとほどよく会話をして、1人か2人は友人も作って、なんの変哲もない生徒になることが一番いい。


つまり、周りと合わせるんだ。