キミと、光さす方へ

「俺がタイミングを間違えたんだ」


「うん……」


「じゃ、俺帰るわ」


「うん……」


あたしは立ちつくしたまま勇人の後ろ姿を見送った。


その姿が見えなくなると同時に涙がこぼれ落ちた。


あたしはなんてことをしてしまったんだろう。


勇人を振ってしまった。


あたしなんかが、勇人を傷つけたのだ。


「うっ……」


一度あふれ出した涙が止まらなくて、あたしはその場にしゃがみ込んで嗚咽した。


ごめん。


ごめんね勇人。


勇人だっていくら謝られたって困るだけだと思う。


だけど、心の中で何度も何度も謝った。


ごめん。


あたしなんかを好きになってくれたのに、ごめん。


立ちあがることもできなくて、あたしは涙で滲む視界でスマホを操作した。


メッセージを送って数分後には泉が駆けつけてくれていた。


「図書室に来ないからどうしたのかと思ってた」


泉はあたしの体を抱きしめて言う。


「泉、あたし最低なの……!」


しゃくりあげながらさっきの出来事を説明する。


泉はあたしの背中をさすりながらうんうんと頷いて聞いてくれた。