キミと、光さす方へ

「それでは今から退院祝いパーティーを開催いたします!」


すべての料理が出揃って、勇人がオレンジジュースの入ったコップを片手に持って言った。


あたしと泉はそれを見て、それぞれのコップを持つ。


松本くんはぼんやりと勇人の様子を見つめていた。


ノリが悪いのはまぁこの際目をつむっておこう。


こうしてここにいてくれるだけで、大進歩なんだから。


お母さんは部屋の隅であたしたちの様子を見守っている。


「退院おめでとう、松本!」


勇人の言葉を合図にして、あたしと泉も「おめでとう!」と声を上げ、グラスを合わせる。オレンジジュースを一口飲むと、それはいつも飲んでいるジュースよりもずっと美味しく感じられた。


同じもののはずなのにと、驚いてコップの中のオレンジジュースを見つめる。


「みんなと一緒だと美味しいでしょう?」


そんなあたしに気がついたのか、泉がそう言ってきた。


「うん……ビックリした」