キミと、光さす方へ

☆☆☆

「松本って、どこの学校にいたんだ?」


「なんで転向? 引っ越しとか?」


「次の休み、学校案内してやるよ!」


ホームルームが終わると松本くんの席の周りには男子たちが集まっていた。


女子たちはそれほど興味がないのか、いつものグループを形成しておしゃべりに夢中だ。


これが太陽のよく似合う男子生徒だったら、松本くんの周りは女子生徒たちで固められていたかもしれない。


「さっきからなにもしゃべらないね」


泉が小声で話かけてきた。


あたしは頷く。


さっきから松本くんはどんな質問にも答えないのだ。


ずっと自分の席に座り、うつむいている。


かといって本を読んだり、スマホゲームをしているわけでもない。


ただただ、うつむいて返事をしないだけなのだ。


次第に話しかけていた男子生徒たちは諦めて、自分の席へ戻って行っている。


「体調でも悪いんじゃないかな?」


いくら陰の存在でも、あの態度はないとあたしも思う。


あれじゃクラスメートたちが可哀そうだ。