キミと、光さす方へ

もし松本くんが烈の誘いを受けていたらどうしよう。


もう、松本くんは学校をやめてしまうかもしれないんだ。


「なんとかっていう組に入らないかって誘われた」


その言葉を聞いた瞬間心臓が止まりそうになってしまった。


全身から血の気が引いて行く。


やっぱり、そうだったんだ!


「そ、それで?」


「断ったよ。随分しつこくて時間がかかったけどね」


「こ、断った?」


「もちろん。そういう世界には興味ないし」


松本くんの言葉に、全身から力が抜けていった。


そっか。


断ったんだ……。


安心したらその場に座り込んでしまった。


「仲村さん大丈夫?」


松本くんがさすがに心配そうな表情を浮かべている。


あたしは何度も頷いて大丈夫だと伝えた。


松本くんはなにを考えているのかわからないし、掴みどころがない。


だから万が一ということがあるんじゃないかと思っていたのだ。


「よかったぁ」


あたしはそう呟いてほほ笑んだのだった。


松本くんはそんなあたしを見つめて首をかしげ「人のことばかり心配してるね」と、呆れた声を出したのだった。