キミと、光さす方へ

☆☆☆

冷たい水で顔を洗って鏡で自分の顔を確認する。


今朝あの夢を見たせいか、少し青白い自分の顔。


でも、それ以外は特に変わったところはない。


あたしは自分の頬を両手で包み込んでみた。


自分の気持ちが自分で理解できない。


どうして勇人にときめかなかったのかわからない。


松本くんのことばかりが脳裏をよぎっていく。


考えれば考えるほど頭の中は大混乱を起こして、なにも考えられなくなっていく。


あたしはもう1度冷たい水で顔を洗い、自分に勝つを入れた。


こんなことをボヤボヤ考えてる場合じゃない。


しっかりしなきゃ!


だからいつまでたっても泉に心配されっぱなしなんだ。


自分にそう言い聞かせてトイレから出た。


その時だった。


ちょうど同じタイミングで隣りの男子トイレから松本くんが出てきたのだ。


突然視線がぶつかって、ドクンッと心臓が跳ねる。


松本くんは何事もなかったかのように、そのまま教室へ向かおうとする。