キミと、光さす方へ

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昼間、あの時のことを少し思い出してしまったからだろうか。


あたしは夜になってもなかなか寝付くことができなくて、ベッドの中で寝返りを繰り返していた。


時々スマホで時間を確認してみると、すでに四仲の2時が回っている。


あたしは目を閉じて大きく深呼吸を繰り返した。


こうしていると徐々に落ち着いてくるのだ。


そして、夢の中に落ちていく。


夢の中で、あたしはまたあの道にいた。


右手に坂道がある道路。


あたしは赤い自転車に乗っていて、その後ろを弟がついてくる。


弟はここ一週間で自転車に乗れるようになったばかりで、それが嬉しくてどこへでも付いてくるようになっていた。


本当は、弟にスピードを合わせないといけなかった。


時々振り向いて大丈夫か確認しないといけなかった。


でもあたしはその時、風がとても気持ちよくてもっともっととペダルを踏んだ。


坂道を通り過ぎて、更にスピードを上げようと足に力を込める。


その時だった。


キキキーッ! と、激しいブレーキ音が聞こえてきて、あたしは咄嗟にブレーキをかけて止まっていた。


そして振り返る。


坂道からすごいスピードで下って来る自転車が見えた。


その下には弟がいる。


あっと、思う暇だってなかった。


下ってきた自転車は弟の自転車に勢いよくぶつかったのだ。