キミと、光さす方へ

入ってすぐがキッチンになっていて、その向こうの6畳のリビングが見える。


「適当に座ってて」


そう言われてあたしはリビングのテーブルの前に座った。


四角い白いテーブル。


その前に置かれているテレビ。


それにクッションがいくつか置かれているだけの簡素な部屋だった。


部屋の隅には高校の鞄や教科書が雑然と置かれている。


本棚とか、娯楽のものがほとんどないのが不思議だった。


「はい」


「あ、ありがとう」


差し出されたお茶を一口飲むととても薄い味がした。


「で、話って?」


松本くんはあたしの向かい側に胡坐をかいて座って言った。


「あ、あのさ……学校、大丈夫なのかなって思って」


あたしは言いにくい言葉をどうにか紡ぐ。


松本くんは天井を見上げて「あぁ、別に、平気」と、途切れ途切れに返事をした。


「で、でもさ、毎日傷が増えてるよね?」


あたしは身を乗り出してそう言った。