キミと、光さす方へ

「なにに乗りたい?」


「えっと、どうしようかな」


なにせ久しぶりだから、全部のアトラクションに興味があった。


コーヒーカップやメリーゴランド、お化け屋敷も楽しそう。


そうしてキョロキョロ見回していた時だった。


『なにしてんの』


そんな声が、胸の奥から聞こえてきた気がして、あたしは立ち止まった。


『男の子と遊園地って、本気で言ってるの?』


その声はあたしそのものだった。


あたしが、あたしに語りかけている。


そんな声無視すればいいのに、あたしは固まったまま動くことができなかった。


『あんたが楽しむなんて、冗談だよね?』


そう、あたしにそんな資格はない。


だから今までだってずっと我慢してきた。


だから今日くらいは……。


『許さないよ』


あたしの思考回路を遮り、否定される。


楽しい気分は一気に萎んでいき周囲の喧騒はかき消えていく。