キミと、光さす方へ

昨日のテレビの話とか、あたしの勉強の話とか、勇人の部活の話。


いつもと変わらない話題をしているとだんだん緊張がほぐれてきて、気がつけば目的の遊園地前に到着していた。


2人でバスを下りて入場ゲートへ向かうと、沢山の人たちが並んでいた。


さすがに休日で、家族連れが一番多いみたいだ。


「こんなんじゃ迷子になるな」


勇人がそう言ってあたしの右手を握りしめてきた。


突然のことで咄嗟に振り払おうとしてしまうが、それもできないくらい強い力だった。


あたしは戸惑って勇人を見つめる。


「本当にはぐれたらまずいだろ?」


「そ、そうだね」


あたしはドキドキしながら頷く。


2人で手をつないだまま15分ほど並び、ようやく中に入ることができた。


園内では尾尻なるキャラクターたちが出迎えてくれる。


久しぶりの楽しい気分に気持ちが高揚していくのがわかる。


楽しい音楽に、賑やかな笑い声。


あちこちにあるきらびやかなアトラクション。


そのどれもに目が輝く。


「なんだよ、遊園地始めてか?」


「そうじゃないけど、久しぶりだから」