キミと、光さす方へ

☆☆☆

勇人とバスの後方で2人きり。


あたしは緊張でカチコチにかたまっていた。


これが学校内ならどうってことないのだけれど、今は状況が違い過ぎた。


「なんでそんなに緊張してんだ?」


勇人にもあたしの緊張感が伝わったようで、怪訝そうな顔をしている。


「だって、2人になるなんて思ってなかったし」


素直に言うと、勇人はおかしそうに声を出して笑った。


「2人きりって言っても、学校内なら普通にあるだろ」


「そうだけど、今は違うじゃん」


「へぇ? 俺のこと意識してんの?」


意地悪な口調でそんなことを言われて、体がカッと熱くなってしまう。


素直に反応してしまう自分が憎らしい。


後ろめたい気持ちがあるはずなのに、それよりも恥ずかしさが勝っている。


「そんなに意識されると、こっちも意識するだろ」


「ごめん」


なんとなく謝って、それからは他愛のない会話に集中した。