結局、その後も他の情報は何一つ見つけ出せなかったが、逆に俺はそんな謎だらけの彼女────「雨貝 八永」に興味を持った。
ふと、輝に視線を移す。
珍しく輝は寝ていなくて、なにやら真剣な面持ちで考え込んでいた。
「（そういえば……雨貝さんと会ったことがあるんだっけ？）」
本人は“誰だこいつ”って顔をしてたけど…。
だとしても、輝が“女の子”に自ら話しかけるとこなんて初めて見た。
それに真琴は別として、茜や藍だって彼女のことが気になっているように見える。
…まぁ藍は、警戒心の方が強いんだけど。
みんなのことを観察し終わり、俺は再びパソコンに向き合った。
何か彼女の情報はないかと学校の裏掲示板にも目を通していれば─────数分前に投稿された一枚の写真に目が留まる。
…へぇ、と。
その写真に対するコメントを見てある案を思いついた俺は、もしかすると笑みを浮かべていたかもしれない。
そして。
「ねぇ。彼女、俺たちの“姫”にしない？」
俺は一つ、提案した。
────彼女が現状を変えてくれる、なぜかそんな予感が微かにしたから。
