「んっ……あま、ね?」
「……っ、奏子!!」
倒れていた体をゆっくりと起こして、少しの間だけ気絶していた奏子がボヤけた視界のなか、私を映す。
「よっ、よかった……」
「なんで……お前こんなところに」
「奏子のこと、助けに来たんだよ」
「…………はぁ?」
「ほら……帰ろう」
別に、間違ったことは言ってないはずだった。
これが正しくて
見て見ぬふりをすることが出来なくて。
自分の今ある力でここまで来たのなら、上出来だと思う。
だけどそんなものは、他人にとって……ううん
奏子にとっては傷口に塩を塗る行為だったのかもしれない。
ーーパシッと、奏子に向かって伸ばした手を払われる。
「……そう、し?」
「お前さ……なんなの?
俺がお前のこと売ろうとしたのは確かだし、俺はそれを悪いとは思っていな……いや。
こんなことして、逢美とゴタゴタになったことだけは後悔してるけど」
「……」
「"助けに来た"とか正気で言ってんの?
……ならお前、頭おかしいよ」
「……っ」
「俺を助けて美談にでもするつもりか?
そうだよなー、お前いじめられてて友達いなかったから、俺しか側にいないもんな」
奏子の渇いた小さな笑い声が、物が乱雑した部屋には嫌に響く。
「女に助けられても嬉しくねーよ……っ!
つかちょっと優しくしたくらいでその気になってんじゃねーよ気持ち悪い」
「……そうし、ちがっ」
「違わねーだろ!!
自分のことだとウジウジして、いじめた奴らにも言い返せない弱虫のくせに。
お前見てるとイライラするんだよ!!」
「ーーッ」


