【完】黒薔薇の渇愛






理解ができないと、桜木は呆れた顔で私を見る。


桜木が私を理解出来ないように
私も桜木のことか理解できない。


どこまでも甘い私と、ハエ一匹だって逃がさないような男……。


いや、桜木はハエである私を逃がした。


逃がしたから今、こうなってるなら。


私を見逃すことは、やっぱり彼にとって誤算だったのかもしれない。



「……なーんか、天音ちゃんといるとバカらしくなってくるんだよねー。
 力抜けるっていうか、他人にそこまで出来る意味が分かんない」


桜木はグイッと私を引っ張って立たせると、呆れた顔をにんまり笑顔に変えた。



一瞬、その笑顔にドキッとする。



「てかさー、天音ちゃん。
 いつから俺の女になったのかなー?」


うっ、やっぱりそれ聞いてくるよね……。


「しっ、仕方なかったの。
 決定的な理由がなくちゃ、あなたの元には行けないでしょ?」


「ほーん、無謀なバカなりに考えるミソはあるってことね」


「……」