【完】黒薔薇の渇愛






すると。



「うっ……うわあぁあぁあ!!」と、急に情けない声をあげながら
私から手を離し、へっぴり腰で逃げていく茶髪男。



「あっ……おい!!」

仲間に置いていかれたことに驚いて、桜木とドアのない出入り口を交互に見ながら舌打ちをし、追いかけるようにスキンヘッド男も逃げていった。



「逃がすか」と、まるで鬼ごっこの鬼にでもなったみたいに。


無邪気に追いかけようと、私の横を通り過ぎようとする桜木の手首を掴む。



「なに」


掴まれた手をそのままにし、桜木が私を見下ろす。



「……やめて」


「はあ?」


「追いかけないで」


「なんで」


「……あの人たちを連れてきたの私だから」


「だから?俺には関係ないでしょ」


「……私には関係あるから、止めてるの」


「……いや、まじで意味不明なんだけど君。
 人質にされておいて見逃すとか、やっぱどっか狂っちゃってんじゃないの?頭」